「N.G.S.ジャパン」の目的のひとつ「庭園保護保存活動」の一環のために、「日本庭園遺産」と銘打って歴史ある芸術美「日本庭園」の名品を一つづつご紹介し続けようと思います。
これを参考に「日本庭園」をひとりでも多くの皆様方に楽しんでいただけましたならば、私どもは非常に幸甚です。

第3回 特別名勝「六義園」〜和歌の庭〜

六義園は、五代将軍徳川綱吉の信任が厚かった川越藩主・柳沢吉保が元禄15年(1702年)に築園した和歌の趣味を基調とする「回遊式築山泉水庭園」で、池をめぐる園路を歩きながら移り変わる景色を楽しむ繊細で温和な日本庭園です。

六義園は、江戸時代の大名が作った庭園の中でも代表的なもので、明治時代に入って、一時、三菱の創業者岩崎弥太郎氏の別邸となりましたが、その後、昭和13年に岩崎久弥氏に東京市(都)に寄付され、昭和28年には国の特別名称にも指定されている大変貴重な文化財です。

また園内は豊富な緑と広い池がいろいろな野鳥を呼び寄せ、ウグイス、メジロなどの留鳥や、マガモ、オシドリなどの渡り鳥も多く見られ訪れる人々の目を楽しませてくれます。
毎年春には、「六義園」のしだれ桜の美しい古木を楽しむ観光客でにぎわいます。
この気品ある名園「六義園」の四季折々の風情を楽しんで頂きたいと思います。

庭園について

  • 内庭大門:庭園の中心に入る為の門で広場にはシダレザクラの大木があります。
  • 出汐の湊:大泉水の池畔のひとつで、入ってすぐの眺めのよい所です。
  • 妹山・背山:中島にある築山でイザナギ・イザナミの故事に因み「せきれい石」もあります。
  • つつじ茶屋:つつじの木で作られたあずま屋です。
  • ささかにの道:クモのことを昔は「ささかに」と言い、この道が、クモの糸のように細いのでそう名づけられています。
  • 藤代峠:園内が一望出来る、一番高い築山(標高35m)です。
  • 渡月橋:2枚の削った大石を下から岩で支えた橋です。
  • 滝見の茶屋:あずまやの横を渓流が走り、滝の景観や水音が楽しめます。
  • 臥竜石:竜の背のような姿を見せる石です。
  • 蓬莱島:神仙島の三つの島のひとつで亀の形をした島です。

こぼれ話

和歌の分類に因んだ庭園
「ロクギエン」と書いて、なぜ「リクギエン」と読むのでしょうか?
六義とは、中国の古典「詩経」のいう詩の六種の分類のことです。紀貫之は、これを転用して『古今和歌集』の序で和歌の六種の様式を「そへ歌・かぞえ歌・なずらへ歌・たとへ歌・ただごと歌・いわひ歌」と記しています。
元禄15年(1702年)、柳沢吉保はこの庭を六義園と名付け、和歌の六種に因んで「むくさのその」と呼ばせたそうです。なおこの年は、赤穂浪士の討ち入りがあった年としても有名です。

花ごよみ

3月中旬〜5月上旬
コブシ、シダレザクラ、ソメイヨシノ、ミツバツツジ、アセビ、ドウダンツツジ、ヤマブキ、シャガ、モクレン、ウツギ、エゴノキ、ガマズミ、マユミ、ニシキギ
5月中旬〜9月中旬
クチナシ、サツキ、ムラサキシキブ、タイサンボク
9月中旬〜11月下旬
ハギ、ナツズイセン、ハゼノキ、イロハモミジ、トウカエデ
11月下旬〜3月中旬
ロウバイ、ウメ、サンシュユ、ボケ、ツバキ

樹木数

高木 針葉樹360本、常緑樹3,490本、落葉樹2,490本
低木 28,700u

主な花木

マツ、モミジ、ケヤキ、ミズキ、クスノキ、スダジイ、ツツジ、サツキ、サクラ、ロウバイ、ウメ、ツバキ、シダレザクラ、イイギリ、タイサンボク、ハギ、サザンカ等。

詳細

開園年月日昭和13年10月16日
面積87,809,41u
開園時間9:00am〜17:00pm (入園は午後16:30pmまで)
休園日年末・年始(12月29日〜翌年1月3日まで)
入園料300円(65歳以上150円・小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料) 団体(20名以上)240円
集会場宣春亭・心泉亭
交通JR山手線駒込駅から徒歩7分
営団地下鉄南北線駒込駅から徒歩約7分
都営地下鉄三田線千石駅から徒歩約10分
駐車場無し
所在地〒113−0021東京都文京区本駒込6−16−3
問合せ先TEL03−3941−2222 六義園管理所

資料:(財)東京都公園協会 東部支社

過去の記事

  • 第2回 浜離宮恩賜庭園
  • 第1回 桂離宮