社団法人N.G.S.ジャパン
〜2015年春、私の思い〜

 昨年の秋、父の書斎で何気なく本箱に並んでいる本を眺めていました。そうしたら、上の方からポロンと1冊の小さな本が落ちてきました。何だろうと、その本を見ると岩波新書から出ていた田中美知太郎先生の「ソクラテス」という本でした。中を開けてみると初版本は昭和32年のものであり大変古い本でした。きっと、今では絶版になっていることでしょう。この本は、ソクラテスの生涯と哲学を易しく一般の人でも理解できるように書かれていました。私は、この本に巡り会えたのは、きっと、神のお導きだと思い、ページを開けて読み始めました。最初は、理解しがたいところもあり難しかったのですが、次第にそのソクラテスの考えが私の魂の中にピュアに何の抵抗もなく入ってきました。「哲学」とは、人が優れた人生を歩むための学問だというところに大変感動しました。端的に言えば、「哲学」とは、智を愛すという「愛智」であり、ギリシア語の「プロネーシス」とは、「智」であり「思慮」のことで「徳」のひとつでもあり、「智を愛し求める」ということは「徳に留意する」ことでもある。「優れた人生」とは、学問に優れているというのではなく、思慮を大切に人々への徳のために良き人生を送るためのものだと説いてありました。この本を読み進んでいくうちに無我夢中になり、何回もソクラテスの教えに触れ鳥肌が立つほど感動しました。 約2500年も前の古代ギリシアの時に生きたソクラテスの哲学にほんの少し触れただけで、このように私の魂は揺すぶられたのです。ソクラテスの教えは、神からの神託を受けた「絶対的な真理」そのものである、だからこそ2015年の時を経た現代でも「真理」として人々の魂を揺り動かすのだと思いました。これは、「私に今この時期にこの本を読むように」との神のお導きであり、神から目先の心配ばかりせずに人々への徳を考えて生きよ」という「気づき」を与えて下さったと思っています。現代の今だからこそ、「徳」へと導いてくれる「愛智」が大切であり、これからは、それを理解する「クウォリティ・オブ ・マインド(“Quality of Mind”)」、つまり、「心の質」を高めていくべき時代なのだ、これこそが、「優れた人生を歩む」ということなのだと強く思いました。

 「N.G.S.ジャパン」は、お陰様で、2016年6月には、設立15周年になります。本年度6月6日から15年目に入ります。これも全て皆様のお優しいご協力ご支援の賜でございます。何て感謝申し上げましたらよろしいでしょうか、心から御礼申し上げます。

 しかし、私としましては、この15周年のお祝いは心の中でさせて頂きまして、一番大切なことは、これからも地道に真摯な態度でこの庭園福祉活動をコツコツと続けていくことなのだと改めて思っております。「チャリティのためのオープンガーデン」を充実させたいという強い思いと共に、この活動をし続けて参りたいと思っております。皆様、今後とも、ご指導ご鞭撻を何卒宜しくお願い申し上げます。

 15年目以降これからの「N.G.S.ジャパン」の取り組みの中心として、寛大で優しいガーデナーさんであるご協力庭園(ジェネラス・ガーデナー)が1件でも多く庭園福祉活動にご参加して頂くための「ジェネラス・ガーデナー・キャンペーン」をし続けてまいります。 今後も、各地域で協力して下さるお庭の数がますます多く増えていくことが「N.G.S.ジャパン」の一番の目標です。皆様、どうかお知り合いやご近所などご協力頂けそうなお庭をご紹介して頂きたく、1件でも多くご協力庭園を増やしていくご協力をどうぞ宜しくお願い致します。 今後も、英国よりギフト(贈り物)として頂いたこの「英国式庭園福祉活動」を英国ザ・ナショナル・ガーデンズ・スキーム(The N.G.S.)のご協力ご支援をいただきながら、継続可能な活動に発展していきたく、是非とも、園芸及び英国関連などの企業にご協力ご支援を頂戴いたしたく思います。皆様、どうか、ご協力頂けそうな企業のご紹介を宜しくお願い致します。

 お陰様で、今年で12期になります「2015年度スクール・フォー・ガーデニスト」のガーデニスト・レクチャーは、4月から引き続き皆様が集う楽しい「英国生活文化&英国庭園文化」の学びの場として年間を通して開講していきます。更に、今年6月から、「ガーデニスト・パーティー」を新しいイベントとして開催していく予定です。そのパーティーの特長は、ウェルカム・ミュージック(生演奏)で皆様をお出迎えして、毎回ゲストをお招きし、おいしい英国菓子などと紅茶のティーパーティーの中、皆様と大いに楽しく語らうサロンのような社交の場として開催させて頂きたいと思っております。皆様、どうか、是非とも、ご参加下さい。

  私共「N.G.S.ジャパン」の活動の最も大切なことは、「お庭という美しい癒しの空間の中、より多くの皆様に、楽しんで頂き、感動して頂き、その幸せのお裾分けのためチャリティという小さな幸せたちに社会のために良いことをしてもらう」という、これこそまさしくお花から生まれる「美しいチャリティ」だと確信しております。そして、多くの皆様にこの「チャリティのためのオープンガーデン」にご参加し続けお楽しみ頂くことこそ、この庭園福祉活動に何よりも大きなご協力を頂戴していることです。どうぞ、より多くの皆様に「ガーデン・オープン・チャリティ」へご来園頂きたく心よりお待ちしております。今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

感謝と共に心をこめまして
(社)N.G.S.ジャパン
代表 谷口 多美江

小さな幸せたち

 私は、何時も「小さな幸せ」こそが「最も上質な幸せ」だと思っています。その「小さな幸せ」がいっぱいある世界こそ、世界平和の理想郷ではないでしょうか。私は、生涯を通して、この「小さな幸せ達運動」を「庭園からのチャリティ」により、し続けたいと強く願っております。
より多くの人々に、花々が咲き乱れる美しい庭園を愛でながら幸せを共有していただき、そして同時にその入園料を良いことに使うというシステムが、80年以上前に英国から生まれました。 この「英国式庭園福祉活動」を日本で、私たち「N.G.S.ジャパン〜庭園福祉活動」は2001年6月より行っております。

 皆さまの参加方法は、とても簡単です。 それは、ひとりでも多くの方々が、「N.G.S.ジャパン〜庭園福祉活動」による「ガーデン・オープン・チャリティ」にお越し下さいまして、私たちと共に「小さな幸せ」を共有していただきたいのです。これが、参加方法です。
さあ、皆さま、どうぞ、お庭へ、ガーデンへお越し下さいますように。

  • 「庭園」に人々が集まり、美しい花を愛でながら楽しい語らいができる小さな幸せ。
  • 「庭園からのチャリティ」により、例えば、世界中の難民の人々へ、特に子供たちへわずかな何かを提供し、彼らにほんの少しの小さな幸せを感じてもらいたい。
  • 世界中の庭園文化との友好関係から、何か貢献しあえるという小さな幸せ。

 小さな幸せたちが、いっぱい世界中を巡ってくれますように。願いをこめまして。

プロフィール

谷口 多美江(社団法人 N.G.S.ジャパン代表)

 私は、大学卒業後 一年間半ほど イギリスのケント州にある伝統的な寄宿舎付きの「フィニシングスクール」に通 いました。その生活の中で 英国の良き時代、まるでヴィクトリア朝の頃のような雰囲気の中、"良家の子女のためのフォーマル マナー"を学ぶという貴重な経験をいたしました。

 同時にその時、イギリス人のライフスタイルを通 して、全英国民が「グリーンフィンガー」と言っても過言ではないほど自然を愛し、それぞれご自分の庭園をプライドをもって大切に慈しんでいる、そんなイギリス人の真の意味での豊かな「人生の楽しみ方」も多く目の当たりにしました。

 その後は、英国各地に点在している歴史古き文化薫る誇らしいほどに美しい「フォーマルガーデン」や「ランドスケープガーデン」を機会あるごとに訪れまして、長年に渡り英国の自然、特に伝統的な英国庭園をこよなく愛し続けております。

 1999年9月9日、ご親切にもあの英国の名庭園と誉れ高い「チャツワース」(Chatsworth)のデボンシャー(Devonshire)公爵御夫妻の御長女でいらっしゃるレディ・エマ・テナント(Lady Emma Tennant)様からのご紹介により「ザ・ナショナル ガーデンズ スキーム チャリタブル トラスト」(The National Gardens Scheme Charitable Trust)の会長でいらっしゃったダフネ・フォーシャム様(Mrs. Daphne Foulsham)にお目にかかることができました。

 彼女の素晴らしい「庭園と御屋敷」そして「ザ・ナショナルガーデンズスキーム」の本部を訪れるという幸運にめぐまれ、"英国内の3500以上の個人庭園等の「ガーデン・オープン・チャリティ」(イエローブック:”YellowBook")の活動や約80年間にわたるその庭園の入園料による寄付を「チャリティ」に送るという庭園福祉活動の歴史に関して"等、沢山のお話を伺う事が出来ました。

 更に「ハッチランドパーク」という「ザ・ナショナル・トラスト」所有の公園の中にある外見は中世の館なのですが、中は超一流のOA機器が揃っているモダーンなオフィスの本部にて、スタッフの方のご親切な説明つきでオフィス内を見せて頂きました。

 将来的に日本国内のN.G.S.のような活動に対して、「英国.The N.G.S.」として会長のフォーシャム様はじめスタッフの方々が全面的に協力してくださるとのことでした。そして、2000年11月に又ダフネ・フォーシャム様(Mrs.Daphne Foulsham)のお宅にお伺いし、その際、21世紀に向けて、The N.G.S.の活動もよりグローバルな形で世界と友好関係を結んでいきたいと、そしてその一環として日本でも「The N.G.S.」の活動を始めるようにという助言を頂き、その際には、全面的に協力してくださるという本当に暖かなお言葉を彼女から頂きました。

 その後、ダフネ会長のお優しく、時には厳しいアドバイスとご指示をいただきながら、翌年2001年6月6日に、長野県佐久市にある英国式庭園「メアリーローズガーデン」において、「N.G.S.ジャパン〜庭園福祉活動」の発足式典と1週間に及ぶ「第1回ガーデン・オープン・チャリティ・ウィーク」を開催しました。

 その発足祝賀式典には英国よりダフネ会長をお招き致し、彼女からご祝辞をいただくという身に余る光栄な思いをいたしました。結果 として、2001年は 日本ユニセフ協会をはじめ3団体へ、「N.G.S.ジャパン〜庭園福祉活動」より寄付をすることができました。

 私は、今後益々、「自分の益を決して求めず、社会に貢献する」という「宝積」という言葉をいつも忘れずに、庭園を通して英国TheN.G.Sの姉妹団体として、支部的役割を果たしながら、日英の庭園・園芸文化交流も積極的に行い、この庭園福祉活動を促進させ世界に発信できるような「N.G.S.ジャパン〜庭園福祉活動」らしい活動をし続ける所存です。

  最後に、"From small acorns do mighty oak trees grow."「小さなドングリの実からたくましい樫の木になるのだ。」
これは、イギリスのことわざです。
「(社)N.G.S.ジャパン」は、今、小さなドングリの実です。しかし、いつかきっとあのたくましい樫の木になることを夢見て....。